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- Story -

kokochi sun3 / zanpano

 

10年の歳月を経て、 再リリースすることとなったザンパノ。
  そのきっかけとなったのが、
お客様が持ち込まれたリペアが必要なそれでした。

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 そのブーツに足を入れ、靴紐を結び、家の扉を開ける。凛と過ごす1日の始まりは、心地よい高揚感とともに靴音を鳴らす。慎ましくありながらも、存在感のあるそのブーツに、私は絶対的な信頼を抱いています。名前はzanpano(ザンパノ)。イタリアの巨匠、フェデリコ・フェリーニの作品である映画「道」にインスパイアされ、2010年にリリースされた、ハンドソーン・ウェルテッド製法の堅牢な革靴。あれから10年の歳月を経て、再リリースすることとなったザンパノ。そのきっかけとなったのが、お客様が持ち込まれたリペアが必要なそれでした。「もう俺の足みたいなもんやねん」とお客様。週に2回、10年間履き続けたそれを見た時、その美しいエイジングに思わず感嘆の声をあげたのと同時に、今の知識と技術で、もっと良い靴に生まれ変わらせることができないだろうかと、思いを巡らすようになり、考察が始まりました。

 
 

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 そして今回、その性能をさらに良くするための要素を3つ、付け足しました。まずはライニングの素材。製造工程で工業廃水を出さず、赤ちゃんの肌に触れても安全な加工を施した、ポルティラという牛革に変更。もちっとしつつも、腰のある素材となり、足あたりの良さと耐久性を兼ね備えることに成功しました。そして、次に取り組んだのが、ライニングの型紙修正。踵の型紙の貼り合わせ方や、縫い方を変えることで、より強度を持たせました。今までの作りでたくさん歩くと、踵の擦れる、貼り合わせ部分が避けてしまうことが、ごく稀にあったため改善しました。
 

 
 

山陽レザーのピットなめし・本ヌメ 山陽レザーのピット層1 山陽レザーのピット層2 山陽レザーのピット層3 山陽レザーの工場内 山陽レザーのピット層4

 最後は、なんといってもアッパー素材の復刻。10年前にリリース後、数年ほど展開していた、サスペンダ・オイルという革に、手を加え直し、復刻しました。サスペンダ・オイルは、古くからのお客様から、復刻を望まれる声が多かった革だったので、“待望の”といってもよいくらい待ち望まれた方も多いのではないでしょうか。革の加工方法は、ピットなめしと呼ばれる鞣し方法。タンニン(植物の渋)がたっぷりと入った、ピット層と呼ばれるプールに約1ヶ月漬け込み、皮を革へと加工していきます。手間暇をかけて作られたそれは、締りがよく、腰があります。今回の復刻版は、過度に油分を含ませず、前回よりも上品に仕上げることで、革本来の美しさを保ちつつ、型崩れしにくい革になったと感じています。シューケア時、ここにオイルを足せば、10年前の“あの”風合いに近づくでしょうし、油分の少ないケア用品を使えば、上品な質感を保ちながら育ってくれるでしょう。日本に数えるほどしかないピット層を持つ、姫路の老舗タンナー・山陽レザーの業を借り完成した、秀逸なマテリアルをお楽しみください。 

 

 
 

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 10年の歳月を経て、再リリースすることとなったザンパノ。そのテーマとして掲げたのが“一生履ける靴を作る”でした。そして現在、私のできる限りの知識と技術を注ぎ込んだ、“一生履ける靴”が完成しました。この靴が、履いてくださる皆様と共に成長し続けることのできる、美しい道具としての革靴であれば幸いです。
 
 

 靴作家・森田圭一

 
 
 
 
 

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