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STORY
 
LAST CUSTOMIZE
 

“ My木型を作る”
足にあった靴を気軽に作るための
ラスト・カスタマイズ
 

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 こじつけのジャストサイズ

 
 新しい靴のサイズを選ぶとき、いつもどこかに違和感を覚えます。私の場合は左足が5ミリほど長く、甲が高いため、左足をタイトに、右足を緩めになるようにサイズを選ぶことにしていて、これがいわゆる私のジャストサイズの基準となっています。何だかこじつけのようなジャストサイズの概念に違和感を抱きつつ、かれこれ20年この思いを引きずっていたことが、ラストカスタマイズというサービスを開始するきっかけとなりました。
 
 お客様の靴を作るとき、木型と足との差異があまりに大きい場合は、木型に革を貼り合わせ足に合わせたりしています。これで少しは合うようになりますが、それでも完璧まではほど遠いのです。足長や甲周りを測ると、“長さ”としての数値が出てきますが、それはあくまで“長さ”であり、足の容積ではないのです。“長さ”を容積に変える術がなかなか見つかりません。そうして刻々と時間だけは過ぎていきました。そんな悶々とした日々に一筋の明かりを灯してくれたのが、とある職人との出会いでした。
 
 
 

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 いうなれば右脳的な足の計測方法

 
 その職人の名前は西村和真。同じ神戸市に靴工房 KUROKIO を構える、私と同世代の靴職人です。木型を木の塊から削り出し、木型を作り、革靴を仕立て上げる西村氏。彼も数値を容積化することの難しさに直面した時があったそうで、そのとき考案した足の計測方法が、現在の彼のスタイルとなっています。私はその方法を聞いた時、体に雷が落ちたような衝撃を感じ、彼に師事することを決したのが2019年の春。そこから1年半が経過した2020年の秋に技術的な指導を受けることとなります。
 
 足の裏の面積を測り、それを木の塊に描きます。描いたそれを独自の方法論で削り出し、いとも簡単に木型にしていく西村氏。すいすいと木を削るその様を見ながら、私は少々(いや、あの時はかなり)不信感を抱いていました。というのも測ったのは足の裏の面積だけで、他の(甲周りなどの)データが全くありません。にもかかわらず形になる木型。「この人はペテン師か?」と、歳も変わらぬ目の前の男を内心疑ってみたりしたほどです。ですが次の行程を学んだ時、曖昧に削っていたはずの木型に意味があったことを知るのでした。
 
 削った木型を元に、パンプスのような仮合わせ用の靴を作った西村氏。メジャーリングシューズと呼ばれるその靴の履き口には、1センチ幅のストラップが5本、縫い付けられています。まずはこれに足を通し、踵に合わせ、ストラップで甲を覆い、覆ったそれの交差する外側の履き口で線を描きます。こうすることにより、荒削りした木型と足の差異を知ることになります。そしてここからが本番。木型と足の差異を削り出していくのです。長い間、“長さ”と仲良くなれなかった私にとって、この方法はまさに目から鱗。視覚的にわかりやすく、画期的な技に出会ったのと同時に、西村氏の弛まぬ努力の日々を垣間見、敬意の念を抱かずにはいられませんでした。
 
 
 

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 安くて簡単であることを目指す

 
 メジャーリング・シューズという足の計測方法を知ったことで、皆さんにご提供することができるようになったのが、本サービスです。既存の木型をもとに作ったメジャーリング・シューズは、履き手の足と木型の差異を埋めてくれる、最良の道具となりました。「デザインは気に入っているのに、靴の甲が狭くてきつい」「甲が薄いので羽根がピッタリと閉まってしまう」などの違和感を気軽に、そして安価に解消していただけるのが、ラストカスタマイズというサービスです。ゼロから木型を作ると、とても高価になってしまいます。ですが、ラスト・カスタマイズの手法を使えば比較的安価で足にあった木型を作ることが可能です。
 
 そしてもう一つ、うれしい誤算が見つかりました。それはメジャーリング・シューズを使用した採寸の仕方がとても簡単なため、誰でも計測が可能だということ。ということはすなわち、ラストカスタマイズ・サービスの通販もご利用いただけるということです。
 方法はこう。オンラインストアで本サービスをお買い上げいただき、メジャーリングシューズを遠くのお客様の元へ発送。そしてお客様自身が採寸をした後で返送いただければ、それを元に工房で “My 木型” を作ることができます。もちろん他店舗で実施されるイベントに私が居なくても、店頭のスタッフに採寸してもらうことも可能となります。「工房まで遠くて通えない」そんなお客様にも、ジャストサイズの靴を作っていただける画期的なサービスとなりました。
 
 
 

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 “My 木型” から ”My デザイン”へ

 
 「自分用の木型を作る=高価」は、その手間と技術を考えれば当然のことなのだろうと思います。でも私はこの概念を覆したい。なぜなら、「生活する分には困らないが、“ちょっとだけ”サイズ選びに困っている」人々があまりにも多いからです。その困っている“ちょっとだけ”を改善すると、俄然快適に日常を過ごすことができます。でも多くの皆さんはそれを知らない。なぜかというと、「自分用の木型を作ること」が高価なものなので、そのサービスを受けようと思わないからです。
 かくいう私も、その中の一人でした。そこで私は誰よりも先に本サービスを使い “My 木型” を作りました。そしてその木型でザンパノを制作しました。フィッティングは良好です。今までフィットしていたはずの場所に、こんなにも隙間があったとは!と思わず感嘆の声をあげたほどです。
 
 私はザンパノが作れる “My 木型” を作ったので、同じ木型を使って作るブルックリンやトレッキングブーツ(いずれもkokochi sun3デザインの靴)も、これで作ることができます。1足作って終わりではありません。この木型を活かして、次はどのデザインを、どの革で作ろうかと胸躍らせ妄想中です。
 ちなみに今後の展開(野望?)ですが、“My 木型” を使って “My デザイン” の靴を作ることができればいいなと考えています。自分の足にぴったりと合った木型を使い、ときにユニークな、またときに凛とした佇まいの、皆様の履いてみたい靴を作るサービスをご提供できれば。何年先になるかわかりませんが、そんな夢も胸に抱きつつ。
 
 今回のサービスは木型のフルオーダーではありませんが、それに程近く、なにより安価に提供できるものになったと感じています。木型を使って制作する、こうべくつ家で作られる、ほぼすべての靴に対応することができますので、ご試着の際、サイズに違和感が見つかった場合はラスト・カスタマイズをご検討ください。
 
 最後に本サービスを実施するにあたり、お力添えいただいた取引店舗やお客様、関わってくださった全ての方々に感謝いたします。皆様にいただいたアドバイスを糧に、本サービスをさらに昇華させられるよう精進して参ります。そして何よりKUROKIO・西村和真氏。本プロジェクトは彼の存在がなければ、始まることもなかったと思います。最高の技術と、感性と、そして哲学に敬意を評し。ありがとうございました。
 
 

 
 

靴作家・森田圭一(2021年4月)

 
 
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